「一刻者」な人

「心を整え、神を迎え出す」
宮崎の「 一刻者 ( いっこもん )
伝統工芸の技を守り受け継ぐ
職人の物語

神楽面彫師 工藤浩章さん(高千穂町)
「一刻者(いっこもん)」とは
南九州の話し言葉で頑固者のこと。
それは時に責任感が強く
実直な人柄の「職人気質」という
意味でもあります。
2001年の発売以来、
頑固に芋のうまさにこだわり続けてきた
全量芋焼酎「一刻者」と同様に、
伝統の技を守り受け継ぐ職人
「宮崎の一刻者」たちを紹介します。
「心を整え、神を迎え出す」 宮崎の「一刻者」伝統工芸の技を守り受け継ぐ職人の物語

神楽面彫師 工藤浩章さん(高千穂町)

「高千穂の夜神楽」は、
宮崎県高千穂町内各地で
毎年11月~翌年2月に奉納される国の重要無形民俗文化財です。
その夜神楽に欠かせないのが神楽面。
同町の神楽面彫師、工藤浩章さん(59)は
「神様は材料の原木の中に既にいらっしゃる。
面を彫るというより、神を迎え出す作業といった方が正しいでしょうね」
と話します。

工藤さんが
父正任さん(88)の跡を継いだのは32年前。
同じ頃に神楽の奉仕者(=ほしゃ、舞手)となり、
面を着けて舞う人の気持ちを
感じるようになりました。
表情豊かな作品たちは、
今年の
「国文祭・芸文祭みやざき2020」開会式で、
天皇陛下に地元を代表する工芸品として
紹介された程です。

彫師としての工藤さんを支えているものの一つが剣道。
高校時代は地元の強豪・高千穂高で稽古に明け暮れ、
今も教士七段の腕前で後輩と汗を流しています。

自宅前にある工房の部屋は、きれいに片付けられ、一つも作品が飾っていません。
六畳の板間には木槌やのみの音だけが響き、まるで道場のよう。
作業は刃物を使い、失敗が許されない。
工房の環境に加え
「集中して作業するために、日常の所作や立ち居振る舞いなどから
心を整えておく必要があります」。

工房では長男の省悟さん(34)も
「父や祖父を越えたい」と
研さんを積んでいます。
工藤さんは「後継者も育っている。これからは
神楽を舞う奉仕者像を彫ってみたい」と
新たな挑戦を考えています。
工藤浩章さん

プロフィール

神楽面彫師
工藤浩章さん

企画・制作=宮崎日日新聞社営業局

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