「一刻者」な人

「400年の伝統を忠実に守る」
宮崎の「 一刻者 ( いっこもん )
伝統工芸の技を守り受け継ぐ
職人の物語

「佐土原人形」人形師 下西 美和さん(宮崎市)
「一刻者(いっこもん)」とは
南九州の話し言葉で頑固者のこと。
それは時に責任感が強く
実直な人柄の「職人気質」という
意味でもあります。
2001年の発売以来、
頑固に芋のうまさにこだわり続けてきた
全量芋焼酎「一刻者」と同様に、
伝統の技を守り受け継ぐ職人
「宮崎の一刻者」たちを紹介します。
「素材と心通わせ技磨く」 宮崎の「一刻者」伝統工芸の技を守り受け継ぐ職人の物語

「佐土原人形」人形師 下西 美和さん(宮崎市)

素朴な雰囲気と明るい色づかいで存在感を放つ
「佐土原人形」。
宮崎市佐土原町の窯元「ますや」の
下西美和さん(42)は、
7代目として400年の歴史を誇る伝統の技を受け継いでいます。

佐土原藩では人生の節目に人形を贈る風習があり、
暮らしを彩る土人形として愛されてきました。
佐土原人形の製作に携わるようになったのは
12年前。
県総合博物館で働いていたときに
展示された人形に魅了され、
ますやを訪れたのがきっかけでした。
幼いころから美術に関心があった下西さんは、休日や仕事帰りに通い、
人形作りにのめり込んでいったころ、先代から店を閉めると打ち明けられました。
「自分が継がなければ、佐土原人形がなくなってしまう」。
2018年に初めて身内以外の後継者となり、
現存する唯一の窯元として製作に打ち込んでいます。

人形を愛してきた地元の方々の思いを大切にするため、
自分らしさを出すより、伝統を忠実に再現することを徹底します。
型入れ、接合、乾燥など、窯入れまでに40以上の工程があり、
電気釜になった以外は江戸時代から伝わる技や工法を貫いています。

「店に並んだときに『変わったね』と言われたくない」と下西さん。
一方で、人形の魅力を積極的に発信しようと、
作品の投稿や子どもたちに親しんでもらう巡回展示など新しい試みも。
「工房には500種を超す型が残っている。
誰かが作りたいと思ったときに次につなげられるモデルを構築したい」と夢を描いています。
下西 美和さん

プロフィール

「佐土原人形」人形師
下西 美和さん

企画・制作=宮崎日日新聞社営業局

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