「一刻者」な人

「素材と心通わせ技磨く」
宮崎の「 一刻者 ( いっこもん )
伝統工芸の技を守り受け継ぐ
職人の物語

弓師 横山慶太郎さん(都城市)
「一刻者(いっこもん)」とは
南九州の話し言葉で頑固者のこと。
それは時に責任感が強く
実直な人柄の「職人気質」という
意味でもあります。
2001年の発売以来、
頑固に芋のうまさにこだわり続けてきた
全量芋焼酎「一刻者」と同様に、
伝統の技を守り受け継ぐ職人
「宮崎の一刻者」たちを紹介します。
「素材と心通わせ技磨く」 宮崎の「一刻者」伝統工芸の技を守り受け継ぐ職人の物語

写真左:弓師 横山慶太郎さん(都城市)
写真右・右側:横山黎明さん 

国産竹弓の9割を生産する日本随一の産地、
宮崎県都城地方。
薩摩武士の武具だった「都城大弓」は、
海外にも愛好家が多い
国指定の伝統的工芸品です。
「素材と心を通じさせ、よく働くよう仕上げています」。
横山黎明弓製作所(都城市)の
横山慶太郎さん(31)は、
江戸時代初期に確立された弓師の技を継承しています。

大弓の長さは212~233センチ。
作業工程は200以上あり、素材となる天然の真竹の切り出しから始まります。
竹と黄櫨(はぜ)を幾重にも張り合わせて弓芯とし、
厳選した弓竹で挟んで半円状に反りをつけていくなど、
一人の弓師がすべて手仕事で仕上げます。

国の伝統工芸士だった祖父や父・三代目黎明さん(60)の背中を見て育った慶太郎さんは、
24歳で弓師の道に入りました。
都城大弓の技は一子相伝で、一人前になるのに10年以上かかるといいます。
黎明さんは「ひたすら気張って、己に勝つしかない」と一切の妥協を許しません。
二人が最もこだわるのは弓の形「成り」。
湾曲が多い「薩摩成」は矢勢(やいき)が強く、試行錯誤を重ねながら調整していきます。

弓が射手を育て、射手が弓を育てる—。
弓を引いたときの感触や表情が一張ごとに異なる大弓は、作って終わりではなく、
射手が手をかけることで馴染んでいく「生きた工芸品」といわれるそうです。
慶太郎さんは「自分に合った姿に弓を育て、生涯愛用してもらいたい」と
作り手としての思いを明かしてくれました。
工藤浩章さん

プロフィール

弓師
横山慶太郎さん

企画・制作=宮崎日日新聞社営業局

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